栗仕事

秋の味覚、栗を頂きました。

去年は鬼皮剥きから挫折して栗ジャムにしましたが、今年は上手に何とかしたい!ということで、「甘露煮」に挑戦することにしました。

そこで最初の難関である皮のむき方を調べると、冷凍するという方法を見つけましたよ。

頂いた栗は一晩水につけた物でしたので、そのまま袋に入れて冷凍しました。

翌日、熱湯をかけ、5分ほどうるかす。

(「うるかす」は東北の方言なんですって!意味は「水に浸してふやかせる」ということです。)

すると、底の方に包丁を入れてから頭に向かってむくと、ぱかっという感じで鬼皮が剥がれます。

こんなに簡単にむけるとは!とびっくりです。

とはいえ普通の野菜の皮むきとは比べ物にならないほどの労力ではあり、肩が痛い。

でもまあ、鬼皮がこれだけ簡単にむけるなら渋皮はさらにラクなんじゃないかと、軽い気持ちでむきました。

それが↑。簡単なんてとんでもない。これが一番難しくないですか?

檀家さんから栗ご飯を頂くことがあるのですが、こんな姿じゃない。

改めてわかる、そのすごさ。

皆さんの手先の器用さと根気強さに頭が上がりません。

渋皮むきに心が折れたので、「渋皮煮」に変更です。

ところが、渋皮煮も一筋縄ではいかなかった。

あく抜きをしなければならないのですが、重曹がない場合どうするか調べたところ、水からコトコトと茹でること15分から20分×4~5回繰り返すとのこと。(ここでちょっとやめたいと思った)

栗を無駄にするわけにはいかないので、渋皮煮へと気持ちを切り替え、再スタート。

茹であがって柔らかくなった栗を傷つけないように、くずれないようにお湯を捨てながら水を足し、その都度ぬるま湯の中で表面をそっとなでて洗い、硬い筋がはがれてきたのを楊枝ですくって優しく取ります。

今回は4回繰り返しました。

そして味付けです。

平らに並ぶように間口が広めで浅い鍋に栗と、水と砂糖を入れて(半分はきび糖)火をつけ、砂糖が溶けてから糖液が全体に回るようクッキングシートをのせて、ことこと1時間。

そのまま火を止めて、味をなじませるために一晩おく。

翌朝、酒大さじ1を加えてコンロの火をつけ、全体にそっと回しかけながら照りが出てきたところで火を止め、完成です。

 

こんなにも手間と時間と食材への優しさが必要な料理だったとは!

これを毎年作っている皆さん、すごいです!

禅です。

栗を扱う皆さんきっと、道元禅師の「典座教訓」にある『調理のこころ』を会得しているに違いない。

食材に丁寧に向き合う心を最後まで持ち続けるということは、何かの拍子に途切れたりして難しいことがよくわかりました。始めは調べた通りやっていたのに、途中で路線変更したりして迷って焦り、砂糖の量など結局目分量になり適当になっていった私はまだまだです。

 

さて、肝心の出来栄えは。

加減がわからなくて渋皮を取りすぎた感あり、柔らかいというよりはホクホク、味は沁みていると思いますがちょっと甘かったなあ。

ということで、「渋皮煮」というよりは「甘露煮」?いや、「甘栗むいちゃいました」が1番近い結果となりました。

まずはお仏様にお供えしました。

今年の栗仕事はこれで終了です。